弦楽器マシンコを弾き語るアズマリは、エチオピア北部の地域社会において古くから音楽をなりわいにしてきた職能集団である。本作は、アズマリの少年少女が歩む人生の道程を、映像によって数年ごとに記録してゆくプロジェクトである。本作では、思春期の少年二人、タガブとイタイアに焦点をあてた。音楽職能を生きる二人の日々の営みや葛藤とともに、アズマリ集団内部における彼らと大人たちとのなわばり争い等を、撮影者と二人の対話を中心に描いた。
国立民族博物館助教。エチオピアの吟遊詩人、楽師の魅力を伝えたいと思ったのがきっかけで映像制作をはじめる。編著に『アフリカン・ポップス!文化人類学からみる魅惑の音楽世界』(明石書店、2015年)『フィールド映像術』(古今書院、2015年)等。代表的な映像作品に『ラリベロッチ』、『精霊の馬』、『Room 11, Ethiopia Hotel』。2008年イタリア・サルデーニャ国際民族誌映画祭にて「最も革新的な映画賞」、2013年日本ナイル・エチオピア学会第19回高島賞受賞。